英検1級・TOEIC900点からのNHK語学

英語講師です。通訳案内士試験合格しました。

 エンジョイ・シンプル・イングリッシュ日本語訳『猫に鈴をつける』

 

エンジョイ・シンプル・イングリッシュ

古典に学ぶ西洋の知恵

『猫に鈴をつける』 

 

 

 

 

むかし、ネズミたちが集会を開いていました。

 

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リーダーのネズミが言いました。

「今日、われわれが集まったのは、天敵である猫について話し合うためだ。何か手を打たないといけない」

 

一匹のネズミが立ち上がって言いました。

「そうだ。われわれは昼も夜もおびえて暮らしている。なんとかしなければ」

 

小さなネズミが言いました。

「でも、何ができるの?猫を止めることはできないよ。大きくて強すぎるから」

 

多くのネズミがこれにうなづきました。猫に比べて、ネズミは小さく、力もありません。猫が持っているような、大きくて鋭いカギ爪や牙などの武器も持っていません。

 

別のネズミが言いました。

「猫と戦うなんて無理だ。負けるに決まってるから。だからおとなしく暮らすしかないんだ」

 

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リーダーのネズミが言いました。

「その通りだ。猫と戦えば、ネズミは負ける。しかし、ずっとおびえていたくはない。問題は、猫が近くにいるかどうかわからないことだ…」

 

そのとき、リーダーはいいことを思いつきました。

「みなさん、私にいい考えがあります。しかし、その説明の前にひとつ聞きたいことがあります。われわれネズミは、なぜいつもおびえているのでしょう?」

 

ネズミたちはしばらく考えました。

小さなネズミが答えました。

「それは、猫がやってきて襲ってくるかどうかわからないからです。猫は素早くて、音を立てないから」

 

「まさにそうです。猫はどこにいるのか、われわれはいつも知りたいのです」

リーダーのネズミは興奮気味に話し続けました。

「猫が近くにいないとわかれば、われわれも息をひそめてずっと隠れている必要もないのです。そうなれば、恐怖から解放されます」

 

ネズミたちは大いに賛成し、うなづきました。

 

一匹のネズミが言いました。

「それはすばらしい。でも、どうしたらわかるのですか?猫は音もたてずに歩くのですよ」

 

リーダーは誇らしげに言いました。

「簡単なことです。猫の首に鈴をつければいいのです。そうすれば、猫が歩いたとき鈴の音がします。われわれは猫が近づいてきたとわかります」

 

ネズミたちは拍手をしてリーダーをたたえました。

小さいネズミは言いました。

「なんて簡単なことなんだ。どうして今まで気がつかなかったんだろう?」

 

そのとき、長老のネズミが立ち上がって静かに言いました。

 

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「リーダーの考えは、たしかにすばらしいと思う。しかし、疑問もある。いったい誰が猫の首に鈴をつけるのか」

 

ネズミたちはいっせいに黙り込んでしまいました。考えはすばらしかったのですが、誰も猫の首に鈴をつけに行くのはいやでした。

 

言うは易し、行うは難し。

 

 

「英語なんて、毎日勉強すればしゃべれるようになります!」言うは易く、行うも易し⁉