英検1級・TOEIC900点からのNHK語学

英語講師です。通訳案内士試験合格しました。

エンジョイ・シンプル・イングリッシュ日本語訳『死神』

 

エンジョイ・シンプル・イングリッシュ

落語

『死神』 

 

 

 

 

橋の上に男がおりました。借金を返せなくなったのです。男は死ぬしかないと思っていました。

 

「ああ、死んでしまいたい。ここから川へ飛び込もうか」

死神「ハハハ」

「誰だ?」

死神「わしだよ、死神さ」

「何でここにいるんだ?」

死神「お前さん、わしを呼ばなかったかい?死にたいって言ってただろう?」

「お、おれじゃないよ。死にたくなんかないね」

 

男は走って逃げようとしました。そこで死神は言いました。

 

死神「金の作り方を教えてやろうか」

「金?どうやって?」

死神「医者って書いて、戸口に貼っておくんだよ」

「でも、おれは医者じゃない。人を助けることはできない」

死神「心配するな。わしの言うようにすればよい」

「わかった」

死神「もし、病人の足元にわしが座っているのを見たら、二回手をたたくんだ。するとわしは消えて、病人はよくなる。お前さんはたくさん金をもらうことができる」

 「本当かい?そんなに簡単なのかい?」

死神「そうだ。でも気をつけるんだ。もし、わしが病人の枕元に座っていたら、その病人は助からない。わかったな?」

「わかった」

 

翌日、男は医者と書いた紙を戸口に貼りました。すぐに女の人がやってきました。その人は、長者の奥さんでした。

 

女の人「お医者様、どうかうちへ来てください。主人が病気なんです」

 

男は女の人の家に行きました。そこには死神がいました。

 

(こりゃ、まずい。死神が枕元に座っている)

 

f:id:eigo-learner:20190409195823j:plain

 

「すまないが、ご主人は助からない…」

「ああ、お医者様、どうにかなりませんか?」

「うーん、そうだ!布団の向きを変えてください。足が頭の方へ来るようにして」

「わかりました」

「それでは、ご主人はよくなりますよ」

(二回手をたたく)

「まあ、見てください!主人がよくなりました。お医者様、ありがとうございます」

 

男はお金をたくさんもらって、家に帰りました。そこには死神が待っていました。

 

死神「どうして布団の向きを変えたりしたのだ?人の死に目を決めることなど、おまえにはできないんだぞ。わしが決めることだ」

「ああ、すまなかった…」

死神「わしと一緒に来るんだ。見せたいものがある」

 

そう言って、死神は男をほら穴に連れて行きました。そこには火の灯ったろうそくがたくさんありました。

 

f:id:eigo-learner:20190409200154j:plain

 

「このろうそくは何だい?」

死神「ああ、この世の人間はみんな一本のろうそくを持っているんだ。ろうそくの火が消えると、その人は死ぬ」

「じゃ、おれのはどれだい?」

死神「あの短いのだよ」

「何だって!そんなー!すっごく短いじゃないか!」

死神「そうだ。今日、長者の命を助けたから、長者のろうそくがお前さんのろうそくになったんだ」

「そんな!どうか死神様、助けておくれよ!」

死神「そうだな、その短いろうそくで新しいろうそくに火をともすことができれば、お前さんは生きていられる」

「よし、この長いのを使おう」

死神「急ぐんだ。お前さんのろうそくは消えかかっているぞ」

「わかってる。こうやって…。よし、やったぞ!これで長生きできる!」

 

男はたいそう喜んで、踊り始めました。しかしそのとき、男の手がろうそくにぶつかり、ろうそくが倒れてしまいました。

 

死神「おお、なんということ!」

 

ろうそくの火は消えました。

 

「おれのろうそくがー!ああーーー!!!」

 

 

けっきょく、人助けをして天に召されていきました⁉