英検1級・TOEIC900点でも英会話は苦手

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エンジョイ・シンプル・イングリッシュ日本語訳『吾輩は猫である』第3話

 

エンジョイ・シンプル・イングリッシュ

吾輩は猫である

 

 

 

『吾輩は猫である』 第3話

 

吾輩の家の裏には小さな茶畑があった。

ある暖かいおだやかな春の日の2時ごろ、そこへ散歩に出かけた。突然、大きな太った黒い猫が目に入った。花を踏みつけて寝ていた。

とても大きな猫で、猫の王様のようであった。吾輩は驚きと好奇心でその猫を見ていた。すると、猫は丸い目を見開いて言った。

 

「だれだ、お前は?」

「わ、吾輩は猫だ。名前はまだないが…」

「どこに住んでいる?」

「先生のところだ。ところできみは?」

「おれ? おれは人力車の車夫のところのクロだ」

 

クロは危険な猫として有名だった。強くて、無教養。だからあまり近づかないようにしていた。クロにどれくらい教養があるか試してみたくなった。

 

「先生と車夫とでは、どっちがいいんだろう?」

「車夫だよ。ずっと強いからな。お前のところの先生は骨と皮ばかりだ。おれについて来いよ、こんな茶畑なんか散歩してないで。ひと月もしないうちに、太って大きくなれるぜ!」

「今回はやめておくよ。でも、先生の方が車夫より大きな家に住んでいる」

 

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「ばかな猫だな! でかい家で腹がいっぱいになるか? 今までにネズミを何匹捕まえたんだ?」

「実は、まだ捕まえたことはない。でも、きみはたくさん捕まえただろう?」

「そんなに多くはないさ。30か40匹くらいだ。ネズミなら100匹や200匹くらいたやすいが、イタチは別だね。やつらはひどいもんだ」

「ふうん」

「暮れの大掃除のとき、主人が床下に入ったら、でっかいイタチが走って出てきた。イタチもネズミと変わりない、ちょっとでかいだけだと思って、角に追い詰めたんだ」

「それはすごい!」

「ところが、尻から臭いにおいを出しやがった。そりゃ、ひどかった。だから今じゃ、イタチを見ただけで気分が悪くなる」

「ほう。でも、ネズミなんかきみを見ただけで怖がるだろうね。君はとても大きいし、毛にはつやがある。捕まえたネズミはみんな食べているからだろう?」

 

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「はぁ…。そこがつらいところよ。人間ほど身勝手でたちの悪い生き物はいないね。おれがネズミを何匹捕まえようが、主人はネズミを取り上げちまうんだ。それで、交番に持っていく。ネズミを持っていくと、わずかな金がもらえるんだ。主人はおれのおかげで金をもらっているんだぜ。それなのに、たいした食事ももらえない。人間なんざ、泥棒よ」

 

クロは聡明な猫ではなかったが、不公平な状況であることは理解していた。クロはしゃべっているとき、背中の毛が逆立っていた。クロは憤慨していたのだ。吾輩は、ネズミなんぞ決して捕まえまい、と心に決めた。